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あなたの両親の遺言能力は大丈夫ですか?川口の弁護士が遺言能力が否定される裁判例を紹介します!

遺言能力とは?

 

 有効な遺言を作成するためには、「遺言の内容と、その遺言を書くことによってどのような効果が発生するのかがわかる能力」が必要とされます。

この能力のことを遺言能力といいます。

 

 遺言能力があるかどうかは、1つの基準からすぐに導き出せるわけではなく、様々な判断基準を総合的にみて判断されることになります。

  

 遺言能力の判断基準に関しての判例は、「遺言の内容、遺言者の年齢、心身の状況および健康状態とその推移、発病時と遺言時の時間的感覚、遺言時とその前後の言動および健康状態、日ごろの遺言についての意向、遺言者と受遺者の関係等を総合的に見て判断する」としています。

 

 ここで注意すべきことは、単に認知症であるというだけでは、遺言能力がなかったとはみなされない点です。よく認知症だから絶対に遺言を書けませんよね?という質問を受けることがあります。

 しかし、認知症であるからといって絶対に遺言を書けないというわけではありません。

 

 それでは、どのような場合に遺言が無効になるのか一緒に見ていきましょう。

 

遺言の内容

 

遺言者が遺言の内容を理解できたかどうかは、遺言能力があったかの判断にあたって重要な要素となります。

 

 一般に、遺言の内容が単純であれば、遺言者が病気等を患い判断能力が低下していても遺言能力が肯定されやすいといえます。

 反対に遺言内容が複雑であればあるほど相当程度の遺言能力が必要とされるため、遺言能力は否定されやすいものです。

 

 そうすると遺言内容がかなり簡単な内容の場合にはちょっとやそっと認知症であったからと言って遺言が無効になるとは限りません。

 

《遺言能力が肯定された裁判例》

全財産を相続人の一人に相続させる旨の遺言であれば、遺言内容は単純であるといえ、遺言能力が肯定されことが多い(東京地判平成5・8・25)

 

《遺言能力が否定された裁判例》 

遺言内容が本文14ページ、物件目録12ページであり、その内容も複雑であり、法律実務家が一読しても直ちには理解できないものであるとして遺言能力を否定した裁判例

 

また、多数の不動産やその他の財産を複数の者に相続させ、かつその一部を共同で相続させたりしているという事情を考慮して遺言能力を否定した裁判例

 

《まとめ》

財産の数が多かったり、配分が複雑である場合には、遺言能力が否定されやすい傾向にあることから、遺言者の能力を見定めて遺言者が了解可能な程度の遺言内容にするべきである。

 

主治医の判断

 主治医の診断は、遺言能力を判断する上でかなり重要視されるといっていいです。
 
 《遺言能力が肯定された裁判例》
 主治医の判断で遺言能力が肯定された例として、多発性脳梗塞に罹患して判断能力の低下が見られた遺言者について、医師が作成日当日の会話を通じて正しい判断能力を有すると判断した裁判例があります。

 《遺言能力が否定された裁判例》
 主治医が遺言作成の1年4か月前に「老人性痴呆(ちほう)」と診断したもの、主治医が5カ月前に「高度の痴呆」と診断したものについては、遺言能力を否定されています。

 ただし、医師の判断は絶対的なものではないという点に注意してください。

年齢

 年齢はそれ自体で遺言能力の判断を左右する要素にはなりません。
 
 しかし、裁判で遺言能力が争われている事案はどれも遺言者が高齢なものばかりです。

 このように考えると80歳を超えて遺言を作成する場合には、医師の診断をしっかり受けておいた方がよいでしょう。特に相続人に遺言能力を争ってきそうな方がいる場合には必ず医師の診断を受けるようにしましょう。

病状

 遺言者が脳梗塞や認知症、統合失調症にかかっている場合には、その病状をみて遺言能力を判断します。
 
 注意しなければならないのは、仮に認知症にかかっていたとしてもそれだけで遺言能力が否定されるわけではない点です。

 遺言能力の判断にあたって問題とされるのは、遺言作成時の遺言者の病状となります。
 そうすると仮に認知症にかかっていても遺言作成時にはしっかりと認知して遺言を作成したことが認定できれば遺言能力は認められることになります。

公正証書遺言の遺言能力否定例

 公正証書遺言を作成するにあたっては、遺言者による口授(くじゅ)が必要とされています。つまり、遺言者が公証人に対してどのような内容の遺言を書くのか口頭で説明します。
 
 そうすると、この口授の段階で遺言の内容に関して主体的に発言をしていないことは、遺言能力を否定する方向に働きます。

 以下の裁判例では、公正証書遺言が無効となっています。

・公証人があらかじめ用意していた遺言内容全部を読み上げただけであった裁判例

・公証人が読み上げた遺言内容について、遺言者が単に「はい」という返事をするのみであってそれ以上の具体的な発言を行っていない場合

・遺言が比較的複雑な内容であるにもかかわらず、公証人が信託銀行において作成された原案を読み上げたところ、遺言者が「はい」や「それで結構です」などと簡単な返事をするにとどまった場合

 以上が公正証書遺言が無効となった裁判例ですが、もちろん上記の点のみをとらえて無効にしたわけではありません。ほかにも無効に傾く要素があったことから総合的に見て無効と判断されたにすぎません。

 重要なことは、公正証書遺言を作成したような場合に、その遺言を無効とすることが容易ではないという点です。
 公正証書遺言を作成すると特別に無効とするような事情がない限り、その公正証書遺言は無効となることはありません。

自筆証書遺言が無効となった裁判例

自筆証書遺言に関して、「全財産を長男に相続させる」と記載されているが、その遺言が作成されたのが、長男との旅行中であったということを根拠の1つとして遺言能力が否定された裁判例があります。 

医師に遺言能力を判断してもらうときに使用される長谷川評価スケールとは?

 日本の裁判例では、長谷川式の評価スケールがよく出てきます。長谷川式の質問を遺言者に行うことで遺言能力があるかどうか判断できるというものです。
 それでは、この長谷川式とはいったいどのような質問内容なのでしょう?
 
 質問の内容としては、
 当日の年月日や今いる場所のほか、5つの無関係な品物を見せてから、これらを隠し、どのような品物があったのかを質問します。
 また、知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってもらうなど比較的簡単な質問が出されます。

 評価を行う時間も20分程度と短く、高齢者のおおまかな知能障がいの有無や程度を測ることができます。
 評価結果については、30点中21点以上が認知能力ありとされ、20点以下が認知症の疑いありとされます。

 遺言能力が否定された裁判例としては、10点のものがあります。

 遺言能力に疑いがある場合や、認知能力を争ってくるような相続人がいる場合には、医師に長谷川式の検査を依頼するといいでしょう。

【この記事の執筆者

大野法律事務所弁護士 

大野太郎

中央大学法科大学院卒業

「相続が発生したときに揉めない遺言の作り方」を日々研究中

セミナーや交流会も多数行っております。

 

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